やり直し力学3 ニュートンの運動の法則の修正3
Meaning of the inertia law is limited from an object's state of rest to its acquisition of motion.
前回までの説明において、運動の法則における「慣性の法則」は、物体が静止状態から運動を獲得するまでに限定されるべきであることが悦明された。今回は、そのことについて、運動の観測とガリレイ変換いう観点から説明を行う。
例えば、一定速度で走る新幹線の中の観測者の傍らに、「静止している物体」が観測されているとしよう。同時に、この物体の運動を、線路の側に立つ観測者が物体の運動のみに着目して眺めると、「一定速度で運動している物体」が観測される。しかし、これらの観測結果は、共に同一の物体の同一の運動を観測しているものであるから、物理法則としては、両者に対してただの一つでよいはずである。
上の問題で、線路の側に立つ観測者が、新幹線に飛び乗って物体の運動を観測すると、「一定速度で運動している物体」と観測されたことは、「静止している物体が静止し続ける様」の観測へと変わる。このように、運動している物体と互いに静止した関係となって観測する方法を、物理学においては、ガリレイ変換を適用するという。逆に、新幹線の中の観測者が新幹線から飛び降りて、線路の側に立つ観測者の立場となって物体を観測することもできる。この場合、観測者は「一定速度で運動している物体がその運動状態を保って」観測されることになる。この場合も物理学ではガリレイ変換を適用したという。ただし、先の変換をガリレイ変換と呼ぶとき、後者の変換はその逆になるので、逆ガリレイ変換と呼ばれる。
ガリレイ変換を適用して得られる様々な理論を、ガリレイの相対性理論と呼ぶことができる。
したがって、ガリレイ変換、すなわちガリレイの相対性理論の下に、運動の法則でいう「慣性の法則」は、 「観測者に対して静止している物体は、(力を受けない限り、)静止し続けるという慣性を有する。その大きさは慣性質量をもって計られる」 と説明される。
このことは、同時に、「一定速度で運動している物体は、(力を受けない限り、)その運動状態を保つ」と言い換えることもできる。しかしながら、この場合は、事がそう単純にはいかないことが後に明らかとなる。したがって、慣性の法則としては、前者が選ばれる。
よって、慣性の法則は、
「観測者に対して静止している物体は、(力を受けない限り、)静止し続けるという慣性を有する。その大きさは慣性質量をもって計られる」
と説明される。
仲座栄三
参考文献:仲座栄三、新相対性理論(物理的思考編)、ボーダーインク、363p.、2023.