やり直し力学4 ニュートンの運動の法則の修正4
Proposed motion equation for a rest mass.
ニュートンの運動の法則で2番目に述べられる運動方程式の修正について議論する。
ニュートンの運動方程式は、一般に、
ma=f (1)
あるいは、
mdv/dt=f (2)
という形で表されている。ここに、mは質量、aは加速度、fは力を表す。dv/dtは、速度の時間微分(加速度)を表すが、高校までの教育教育では通常微積分に立ち入らず、式(1)の形が用いられている。
ガリレイは、ピサの斜塔から物体を落下させたり、斜面上で物体を滑落させたりした実験から、物体の落下に何らかの力が作用していることを示唆し、ニュートンは、リンゴの木からリンゴが落下したことにヒントを得て、万有引力を発見したと言われている。これらの事実を説明するために、ニュートンは運動法則に言及している。
ニュートンの運動方程式は、式(2)の形で表されるように、物体が静止している場合も、任意速度vで運動している場合にも適用されている。中学や高校などで見かける物体の運動に関する試験問題などから推測すると、ニュートンの運動方程式は、物体が静止している場合よりもむしろ物体が一定速度で運動している場合からの速度変化、加速度を求める式として認識されているように思える。
しかしながら、前回までの説明において、ニュートンの運動法則で述べられる「慣性の法則」は、「物体が静止状態から運動(速度)を獲得するまでの間」に限定されるべきであるとの修正を行った。その理由は、相対性原理によれば、観測者に対して相対的な運動状態にある物体であっても、物体側からは、逆に、観測者の方が運動状態にあると説明されるため、相対性原理に矛盾をきたさないようにするためにあった。
慣性の法則によれば、観測者の傍らに静止して観測される物体は静止し続けるという慣性を有する。力が物体に作用することで、その物体は運動を開始する。その際に、物体が速度を獲得する方法を力学的に規定するのが運動方程式となる。
このようなことから、ニュートンの運動方程式も観測者に対して物体が静止状態から相対速度を獲得するまでの間に適用しなければならない。したがって、ニュートンの運動方程式は、次のように修正されなければならない。
mdv =fdt (3)
ここに、dvは物体が静止状態から獲得した微小速度、dtは物体に力が作用した間の微小時間を表す。
したがって、修正された運動方程式は、次のように説明される。
「観測者に対して静止している物体に力が作用するとき、物体が獲得する相対的な微小速度dvは、静止慣性質量mに反比例し、作用させた力fとその微小作用時間dtに比例する」
ここに、mは「静止慣性質量」と定義されるが、現在の物理学においては、万有引力に関連する「質量」に統一されている。しかし、運動方法則における位置づけとしては、物体の静止慣性を計る物理量として定義し、「静止慣性質量」と呼ぶことが推奨されよう。
運動方程式(3)によれば、力が作用しなければ、f=0より、dv=0となって、物体は静止し続けることになる。その結果、「式(3)はすでに慣性の法則をも説明しており、それに加えて別に慣性の法則を必要としないのではないか」と指摘される可能性がある。しかし、慣性の法則は、静止し続けるという物体の静止慣性の存在を述べているだけではなく、その性質が「慣性質量をもって計られる」と定義しているところに、運動方程式からは説明できない法則を持ち合わせている。
仲座栄三
参考文献:仲座栄三、新相対性理論(物理的思考編)、ボーダーインク、363p.、2023.