仲座栄三 新力学研究所
2020年06月15日

牧野清著「八重山の明和大津波」を文化財指定へ

Kiyoshi Makino's "M Tsunami in Yaeyama" designated as a cultural property

重山の明和大津波」、あるいは改訂増補版「八重山の明和大津波」と呼ぶ。この成書が、八重山の、そして世界の珠玉として、未来永劫に一寸たりとも汚されないように、文化財指定して保全すべきであることを提案したい。

牧野清氏の「八重山の明和大津波」の序文として寄せた喜舎場永珣氏による評価は、以下のようなものとなっている。

(途中省略)

牧野君はその序文や本文の中にものべているように、その研究の柱をなした文献は、明和津波の当時の記録「大波之時各村之形行書」と、拙書「八重山歴史」であるが、同君はこれらの文献、記録の上に立って、さらにこれを自ら調査し、研究して、そのおどろくべき自然災害の実態を復原し、そしてこれを現代の眼をもって考察、解明し、この津波の記録を新しく書き直すという偉業をなしとげたもので、八重山の郷土史の上に、一つの大きな足跡を印したものである。

(途中省略)

打上げられている大石の実地調査、観察記録などを書き進め、ときどきその概要報告にも来てくれた。その結果おどろくべきいろいろのことが明らかとなった。中でも波によって運ばれた大石の分布状況を明らかにして、大石分布図を作ったこと、石垣島の波に洗われた地域の推定図を作ったこと、津波の高さの解明、その最高記録二十八丈二尺という波は、嘉崎浜から宮良の牧中に達したものであるという事実をつきとめたこと、竹富島や四カ村がサンゴ礁の影響をうけたこと、その他この津波に関する限り、今日まで誰にもわからなかったいろいろのことを明快に解明したその努力と、その考察力には敬服すべきものがある。そしてそれは、学会に貢献するところもひじょうに大きいと思う。

また地震や津波の成因に関する地球物理学専門学者の研究を引用して、明和の地震や津波の解明につとめ、一般の素人にもわかりやすく記述したことも、たいへんよいことであると考える。

さらに、奇妙変異記や、離島にも調査に渡って、各地の伝説や、伝承を蒐集したことも立派な業績である。

以上を要するに、本書は明和津波の諸現象を徹底的に追求し、解明することによって、現在および将来に向かい、この種災害に対する人人の認識、理解を助けるとともに、一面警告の書ともなっていると私は考えている。

以上(牧野清著改訂増補「八重山の明和大津波」より引用)

この喜舎場永珣氏による序への寄せ書きに現れる評価は、歴史学あるいは社会学的観点からのみでなく、海岸工学あるいは津波工学の観点から見ても、実に正確であり、そして余すとこなく説明されている。

最近、牧野清氏の偉業を否定し、明和津波がもたらした大浜崎原の津波大石や、宮古島(下地島)帯大岩、そして津波上がり高さ 85m 等などを否定する主張を行う書物が発行されている。実に悲しむべき所業である。我々は、惑わされないように、要注意でいなければならない。